「かんぽの宿」をオリックスに一括売却する譲渡契約が、白紙撤回されることになった。 売却にストップをかけていた鳩山邦夫総務相が、6日も国会で「こんなものが入札と言えるのか!」と口にしていたが、実際、総額2400億円かかっている79施設を、オリックスが109億円で落札した経緯は疑問だらけだ。 日本郵政のホームページに「競争入札のお知らせ」がアップされたのは、昨年4月1日。当初、27の企業が参加を表明。予備審査で22社に絞られ、第1次提案に至ったのは7社。その後の審査で3社になり、最後はオリックスと、もう1社の争いになった。 最大の疑問は、入札の途中で「対象物件」が変更されたことだ。それも、最大の目玉とされた、東京都世田谷区の一等地にある「世田谷レクセンター」(2万5000平方メートル)が、土壇場で外されている。1次入札のあとに物件が変更になるなんて民間でもほとんどないこと。まして国民の財産である。条件が変わったのなら、一から入札をやり直すのが当然なのに、そのまま続けている。 当初の27社から、1次提案までに7社へ絞られた過程にも疑問が残る。なにしろ、入札希望の企業に、「いつでも理由を示さず交渉を打ち切れる」という文書まで送っているのだから異常だ。これでは、極端な話、オリックスのライバルになりそうな企業を恣意(しい)的に排除できる。日本郵政は「競争入札」だったと強調しているが、どこまできちんとした競争入札だったのか。「競争入札は一番高い金額を提示した企業が落札するのが通常ですが、『かんぽの宿』は、入札金額ではなく、企画の提案、民間企業でいう『企画コンペ』のような入札でした。それだけに、恣意的になる余地がある。企画コンペなら、審査の基準や審査結果の点数などを公開するのが普通ですが、日本郵政はまったく情報を公開していません」(事情通) 日本郵政は「白紙撤回」することで疑惑にふたをするつもりかもしれないが、オリックスが落札した裏にカラクリがあったのか、なかったのか、徹底的に解明する必要がありそうだ。
(日刊ゲンダイ2009年2月7日掲載)
私的な意見だが、随時契約は良くないとして堂々と国民の見えるところで公正な競争入札を建前としながら、その競争入札に国民の分からない事前調整を行って事実上は関係業者を競争から排除しているのはまったくけしからん。郵政側がオリックスと契約を交わしているのにあっさり一括譲渡をひっこめたようだがこんな裏があるようだから当然かもしれない。国会で総務相が認可しないとか、しないとかいう以前の問題だ。さらに真実を明らかにしてほしい。